ケカラハ※は、アートの東洋的もしくは日本的方法論を模索するプロジェクトとして、4人のアーティストによる対話から始まりました。アーティストだけではなく様々な分野の専門家とともに、それぞれの専門的な視点や個人的な話を共有する場をつくり、その思考や議論のプロセスをアーカイヴしながら活動していきます。 今日の問題意識として、情報が世界を構築し、キレイに整理されていくなかで、規範から外れた行為を許さない世の中になりつつあると感じています。あるひとつの方向へ突き進んでいく社会のなかで、秩序や習慣、価値判断や真実から抜け落ちてきたもの、見過ごされてきたことについて、今あえて目を向けてみる、再考してみる必要があるのではないかという問いを立てました。 私たちが日常的に、習慣的に排除してきたものは何でしょうか。例えば「死(death)」や「きたなさ」です。その境界や向き合い方を問うことは、既存の観念(「けがれ」とは等)の再考と新たな答えを導くことへの慎重さを要求します。 私たちは、新しい正しさの在り方を理念として提唱したいのではなく、改めて見直し、考え、探求するプロセスをそのまま、複雑で曖昧で混沌な現在性・現実(リアリティ)として提示していきたいと考えています。
※名称は、不浄なものに触れるさまを表す古語「汚・穢(ケガ)らう」や日常を表す褻(ケ)にちなみます。